在宅勤務ライフ

食べて働く!

強剛母趾手術と過呼吸とマドレーヌ

強剛母趾の手術を受けた。
受ける前から恐怖で身体が震えっぱなし。
痛みにめちゃ弱いタイプなので。そして、初めての全身麻酔も怖かった。
足の指が痛いのを一生我慢するなら手術を受けなくても良いし、治したいと思うなら手術を受けても良い。恐怖を前に「手術辞退して逃げ出したい」気持ちに随分とらわれた。
手術台に上がる。
硬い手術台と思いきや、金と銀が混ざったように輝くブロック状に見えるフニャフニャな感じのウォーターマット的な生暖かいところに横になる。
「マスクつけまーす」と口がマスクに覆われる。努力して呼吸しないと空気が入ってこない感じだった。うわさでは2回呼吸すると眠るらしいと聞いていたが7-8回はしたかもしれない。
麻酔がかかったとか眠ったとかそういう自覚症状がないまま突然肩をパンパンと叩かれる。「終わりましたよ」の声に目を開けた途端、口から何かが抜かれた。挿管が抜き取られた。苦しいことはなかった。

目が覚めた瞬間正気に戻る感じ。頭痛も気分悪さもなかった。酸素マスクがかけられたが息苦しい。どうも口を覆われる息苦しさが苦手なのかもしれない。
一生懸命呼吸しようとした。ところがどんどん苦しくなる。息苦しさはそれはそれで大丈夫な感じだったが、身体のうち下半身と両手が硬直し始めた。ベッドに戻ると看護師の皆様に囲まれ「ちょっとおかしいです」「嫌な感じです」と口々に言う。硬直している本人はそれほど苦しくはないのだが、周りの言葉に緊張する。何かの検査をすると医師が言って、動脈から血液を採取。程なく「過呼吸ですね」と診断。
酸素マスクを直ちに外し、よくある「袋で自分の口を覆い、自分の吐いた息を吸う」ようにされた。ゆっくり深呼吸。カチカチの身体が次第に柔らかくなっていった。
酸素を欲し、深呼吸するとカチカチが始まる。
だめだ、酸素いらない。
酸素マスク不要。
過呼吸ってこういうことか、と初めて体感した。人間の身体は血液中に酸素と二酸化炭素を一定割合が必要で、酸素だけ大量に吸っても二酸化炭素不足で肺が酸素を取り込めない。酸素に溺れてしまっている状況。だから酸素を吸うためにその前提である二酸化炭素を身体に取り込まないとダメなのね、なるほどなるほど。
ドラマとかで「過呼吸で倒れる」というのを何度か見たが、なぜ倒れるのか(手足などの末端が痺れて感覚がなくなる)、なぜ袋で口を覆うのかがわからなかった事に合点が行った。
無意識にしている「呼吸するとは何か」を改めて詳しく知りたいと思うようになった。これは半年ほど前に登山上の高所順応に対するテストを受けたのだが、酸素が薄い状態で血中酸素濃度が低くなるため呼吸法で酸素濃度を上げる訓練で、私だけどうしても上げる事が出来なかった経験もふまえてだ。
話はそれたが、手術も無事終わり、手術後のひと騒がせな状況も終わると、ベッド上ではのんびりムードで過ごせる。

ただ、まだ歩けないだけである。

手術から24時間たった。
職場の方にいただいたマドレーヌをいただく。
美味しいって幸せ。
改めて感じる。ご馳走さまでした。