【本厚木ランチ】ビストロ ボナミ 最終回
とうとうこの日が来てしまった。
ランチに行ける最終日である。
泣いちゃいそうである。
お店に着くとまたカウンター席を陣取った。
2次発酵中のパンをどけてまで、すみません。
毎回このパンが美味しいと思っていたら、やっぱり手作りなのだった。このシェフならそうだろう、手抜き無しだもの。フォッカッチャである。
カットしてあるものの、毎回形が違う理由も最終日に判明。
自由に広げて発酵させると膨らむ。逆に型にはめるとカチカチになって美味しくならないのだそうだ。なんだかいいな。
シェフによるとフレンチレストランだからバゲットとかも作るというのも良いが、1人でやっているし料理に力を込めたいので、簡単でも美味しいフォッカッチャにしているとのこと。フォッカッチャも感動ものの美味しさなので全く問題無しである。
前菜
最後の前菜。
サラダとショートパスタとバジルとオリーブオイル。美味い。
時々お店で料理教室もやっていたそうで、もっと早くこのお店に来たかった。煮込み料理のポイントなども教えてくれる。そんな事、無料で教えてくれていいんだ!と感心すると「うちは隠してるものは何にもないから」とニコリと笑う。
店舗内にはフランスで修行した写真が何枚か貼ってある。フランスには行ってよかったという。今以上に大きい世界に触れると自分の中に何か変化が生まれるし、視野も広くなるのだろうか、そういう世界っていいなとちょっと羨ましく思う。腕を磨いている以上に料理が好きで好きでたまらないオーラが伝わってくる。
毎回¥1200でいただける美味しいランチ。
1200円の料理を作る、という単純なことでは無く、1万円以上のコース料理をしっかり作れるシェフが作る¥1200のランチなのだ。
そして料理大好きなシェフなのだ。
メイン
「最後に食べていただきたかった料理です」と出された。
見ただけで美味しいとわかる。
ランチのレベルを超越してるとしか思えない。
牛肉の煮込み料理。最近はおまかせ料理のためメニュー名はわからない。
ほろほろと柔らかく、もはや「感動」としか言いようがない。シェフの心意気。
言わずもがな、箸が止まらない的に完食。
コーヒー
ここの食後のホットコーヒーのファンだった。
目の前には最後の一杯である。
この上ない満足感。食べるってこんなに幸せで楽しかったんだという事を気づかせくれた事に感謝である。
店舗移転はご自宅近くになるそうである。
お子様もまだ小さい。美味しいものを作ってそれを生業とし家族と楽しく暮らす、それ最高。
有名になるとか、地位名声を得たいとか、評価されたいとか儲けたいとか、そういう事じゃないところがシェフの人柄なんだと思うし、本来の人の幸せの形かなと思えて、これまた無性に羨ましい人生だなと思えた。
いい会社とか出世とか地位名声とか、それは結局最後に幸せになれるかというとそんな事は全然ない。後になって大切なものはなんだったかを突きつけられる事になるだろう。
そんなこんなで自分にとって、暮らしていけて、幸せな状態って何だろうという事を改めて考えたくなった次第である。これは私の中での変化でもある。
お店を出る時間になった。
心を込めてご馳走さまである。
当初「寂しくて泣いちゃう」と思っていたが、素晴らしい演劇を見た後に幕が降り、盛大に拍手喝采している気持ちになって店を出た。
ありがとうございます。
心からありがとうございます。
後日。
教えていただいた煮込み料理のポイントを念頭に煮込み料理を作った。我ながら美味しくできたぞ!
お料理が前より好きになった。