在宅勤務ライフ

食べて働く!

縦走出来なかった話

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コロナのご時世になってから、3度目の夏が来た。

この夏は行動制限の無い夏という事だ。すると、山小屋従業員の皆様が感染するという現象が北アルプスでは多発している。

従業員が感染するとどうなるかというと、突如「山小屋休業」になってしまう。わかってはいた事だが、いざ自分が明日泊まる山小屋の休業連絡が前夜に届くとあたふたしてしまった。

そもそもの予定は

登山口X→山小屋A→山小屋B→山小屋C→下山口Yという、いわゆる縦走であった。

天候には恵まれなかったものの、順調に山小屋Bまで進んだ。そしてその夜、「山小屋Cがしばらく休業」という連絡が来た。すなわち山小屋Cには進めないという事だ。また山小屋Cを通り越して下山口Yまで1日で行くのは体力的に難しい。こうなると戻るしか無い。山の中では携帯電話は実は概ね圏外になる。山小屋間の連絡は無線か衛星電話という代物である。コロナ時代になって山小屋も完全予約制になったので、予約していない山小屋Aにいきなり戻る事は出来ない。まずは予約が必要だが、携帯は圏外。滞在している山小屋Bに「山小屋Aの空き情報を教えて欲しい」とお願いしたところ、「予約は取れないようです」という話が来た。切羽詰まるのも嫌なので、山小屋Bにもう一泊滞在する事にした。山小屋Bに頼らずに山小屋Aの予約をするにはどうすればよいか?それは2時間かけて高い所まで行くと電波が繋がるので、そこまで行ってネット予約するしかない。翌日、山小屋Bの外に出た所、限られた場所でのみ微弱に携帯が繋がった。山小屋Aの予約サイトから申し込みをする。しばらくして返信メールを受けとると、なんと「山小屋Aでも従業員感染が発生して休業」になっていた。実は山小屋AとBの間にもう一件、山小屋Zがある。戻る先の登山口Xまでやや時間がかかるので、考慮していなかったのだが、帰るためには山小屋Zに泊まる事が最良である。ここの予約は電話のみである。予約が取れてホッとする。電波が繋がるうちに、帰りの電車をキャンセルし、次なる帰りの手段のバスの予約をした。残席1で予約出来た。3泊4日が4泊5日になってしまったため、仕事先にも連絡を入れておいた。やるべき事は全てやって、その日はゆっくり過ごした。

翌朝、山小屋Zに向かって来た道を戻る。2日前は悪天候で視界ゼロだったが、今日は見晴らしが良い。

結局コースとしては

登山口X→山小屋A→山小屋B(2泊)→山小屋Z→(山小屋Aの前を通過)→登山口X

の4泊5日になった。

そんなこんなで縦走は出来なかったが、山の中で5日間もすごせた事は個人的に大変嬉しかった。「縦走を成し遂げる」とか「登頂を果たす」も良いのだが、山の中を歩き回るというのも大好きだから。

山も人生もなかなか計画通りにはいかないが、一生懸命取り組んだり、何かを決断して実行したり、そういうプロセスが楽しい。失敗も成功も無いと私は思う。

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